大銀行の統合、合併はなぜ?


 〈問い〉 興銀・第一勧銀・富士銀行の統合に続き、東海とあさひ、住友とさくらの各銀行の合併が表明されました。大銀行の統合、合併はなぜおこなわれるのですか。リストラや国民生活への影響はどうなるのでしょう。(埼玉・一読者)

 

 〈答え〉 有力銀行の大型再編が相次いで発表され、同時に大規模なリストラが始まりました。人減らしでは、興銀・第一勧銀・富士七千人、東海・あさひ四千人、住友・さくら九千三百人と約二万人もの大量の削減がおこなわれます。住友・さくらの九千三百人は、割合では日産自動車を上回る過去に例のない計画です。支店の削減でも、合わせて三百七十一の店舗が閉鎖され、利用者に大きな影響が出ます。少数の巨大銀行が支配的な力を持ち、預金金利や手数料等で談合や協定がやりやすくなることも問題です。

 自民党政治は、「金融ビッグバン」と称して、独禁法の「改正」などの法整備や金融の規制緩和をすすめる一方、不良債権処理のために巨額の公的資金を投入。そのもとで、生き残りをかけた大銀行は統合・合併などによる金融再編を急速に進め、より効率化、投機化しようとしています。再編をひかえた銀行が、罪のない従業員に犠牲を押しつけるとともに、融資先の選別を強め、中小企業を中心とした格付けの低い企業をふるい落とすなど、貸し渋りと資金回収に拍車をかけているのもそのためです。

 先の国会で、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が取り上げた愛知県の例では、再編にそなえ体力強化に血まなこの富士銀行が、貸出先企業の工場を閉鎖させ、退職金さえ横取りして強引に債権を回収していることが明らかになりました。

 問題なのは、取引先にリストラを求める銀行の圧力が、再編前だけにとどまらないことです。有力銀行が合併することで、融資先同士が競合するようになれば、銀行からの圧力はますます強まります。一勧・富士・興銀の場合、メーンバンクとなっているのは、取引先企業数で約十七万社にも上ります。メーンバンクが同じという企業がひとつの業界内に多数あれば、当然はじき出される企業が出てきます。

 今後、金融再編によって日本のあらゆる産業界が様変わりし、中小・零細企業にも多大な影響が出ることは間違いありません。(ゆ)

〔2000・1・9(日)〕



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