〈答え〉 ペイオフとは、金融機関が破たんしたときに、預金保険機構が、預金者に預金の一定額を払い戻すことです。最近、目につく「ペイオフ解禁」という言葉は、二〇〇一年四月以降、預金を全額保護するいまの仕組みが終了し、金融機関が破たんしたとき、預金額がカットされるという意味で使われています。
預金保険機構は、金融機関の破たんにそなえて金融機関から保険料を徴収し、それを資金に預金者を保護する組織です。そのもとでは、たとえ金融機関が破たんしても、一千万円までの預金の元本は全額保護され、一千万円を超える部分も、破たん金融機関の財務内容に応じ保護されます。例えば、破たん銀行に八割の資産が残っていれば、一千万円を超える預金も八割はまもられます。
現在は、一千万円を超える部分も全額保護されていますが、これは、金融機関の破たんが相次ぐなかで預金者に不安を与えないためとして、二〇〇一年三月末までの特例として九六年に定められたものです。この時政府は、その費用として公的資金の投入を決めました。政府は当初、公的資金の使用は信用組合の破たんに限るとしていましたが、その後、銀行にも拡大されました。
昨年末、与党三党は、特例期間を一年延期し、その間も公的資金投入を続けることを決めました。通常国会には法案が政府から提出され、特例期間終了後も、二〇〇三年三月までは普通預金や当座預金は全額保護すること、預金利息や個人向け金融債なども保護すること、預金は健全な金融機関に引き継ぐ方式を基本とすることなども盛り込まれます。
金融機関の破たんに預金者はなんの責任もないのですから、預金を保護し、生活と営業に不利益が生じないようにするのは当然です。その際重要なのは、必要な財源を金融業界の自己責任でまかなわせ、公的資金投入の仕組みを断ち切ることです。
なお、国の事業である郵便貯金は、預金保険制度とは関係なく全額保護されています。(池)
〔2000・1・15(土)〕
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