2000年12月17日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本が国際貢献を果たすためにPKF凍結を解除すべきだという議論がありますが、どういう問題なのですか。(島根・一読者)
〈答え〉 PKF(平和維持軍)は、国連のPKО(平和維持活動)の中でも、より軍事的性格の強い部門の活動です。九二年六月、自衛隊の海外派兵に道を開くPKО法(国連平和協力法)を成立させた際、政府は、PKOへの自衛隊参加は憲法違反だという批判を避けるために、自衛隊は武力行使につながる活動には参加しないと言明しました。これがPKF本体業務への参加凍結といわれるもので、法律に「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない」と明記しました。
当時政府は、(1)紛争停止と武装解除履行の監視(2)緩衝地帯における駐留・巡回(3)武器搬入・搬出の検査・確認(4)放棄武器の収集・処分(5)停戦線設定の援助(6)捕虜交換、の六項目をPKFの本体業務とし、自衛隊がその活動に従事することを凍結しました。
これらは、どれも武力行使を前提にしなければ従事できない活動です。例えば紛争停止の監視は、停戦合意があっても現場では常に紛争当事者や個別部隊や勢力間の小競り合いが発生する可能性がありますし、現場の自衛隊がそれに巻き込まれたり、攻撃されたりする可能性があります。武装解除や武器の搬入・搬出の検査も、危険度の高い活動です。PKOはもともと自衛のための武力行使を権限としてもつ軍隊です。だからこそこれらの活動への自衛隊参加を禁止せざるをえなかったのです。
最近、「凍結解除」を求める議論が与党内に強まっている背景には、アメリカの介入・干渉戦略への日本の軍事分担をさらに拡大させようという米国の圧力があります。フォーリー駐日米大使は、「日本が平和維持活動により大きく参加することを歓迎する」と表明(十月十六日、防衛大学校講演)。コーエン米国防長官もアジア歴訪で合意をとりつけた米軍中心のアジアPKO多国間演習に自衛隊を参加させようとする意図を明らかにしています。
PKF凍結解除は、憲法を踏みにじって自衛隊が海外で武力行使を伴う活動に本格的に踏み込むものであり、日本共産党はこの動きに厳しく反対しています。(山)
〔2000・12・17(日)〕
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