日本共産党

総合課税のために納税者番号制が必要?

 2000年12月27日(水)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 利子所得等の分離課税を総合課税にすべきだという主張にたいし、政府税調などはそのためには納税者番号制度が不可欠だとしています。この問題をどう考えますか。(兵庫・S・T)

 

 〈答え〉 政府税調を中心に導入の可能性が検討されている納税者番号制度は、全国民に(法人も含む)生涯変わらない番号を付けて、経済取引での利用を義務づけ、納税者に関する課税資料を集中的に整理・管理する方式です。

 この納税者番号制度の最大の問題は、プライバシーの侵害につながり、国民総背番号制に道を開くおそれが強いことです。

 政府は、すでに九七年一月から実施されている「基礎年金番号」か、二年後に導入予定の「住民票コード」システムのどちらかを、番号制に共用番号化しようとしています。

 この制度が導入されると、(1)税務当局による納税者へのプライバシー侵害、(2)付番した税務関連情報への他の行政機関によるアクセスの問題、さらに(3)民間の企業等による付番情報の収集・利用など、プライバシー侵害の危険性が大きくなります。ですから、日本共産党はこの制度の導入には反対です。

 さらに重大な問題は、制度導入の目的が、利子・株式等譲渡益課税の総合課税化という出発点から事実上後退し、「利子等の金融課税は分離課税が現実的な方策」と結論づけられ、いま“税務行政の効率化”という徴税側の理由の方向に変化しつつあることです。

 制度導入のコストは、行政側だけでシステム構築時の初期費用が千数百億円以上、経常費用で数百億円という巨額に達すると試算されています。このような大掛かりな制度を導入しようというのに、これでは何のための導入かということになります。

 そもそも、利子・株式譲渡益等の総合課税は、納税者番号制によらなくとも可能です。株譲渡益での申告者は約一万八千人、利子で高額の金利を得る人も一握りです。金融機関や証券会社に本人確認をおこなわせるとともに、支払い調書の提出を義務づけ、国税庁が適切な名寄せ体制をとるなら、所得の把握は十分可能で、番号制の導入は必要ありません。(若)

〔2000・12・27(水)〕


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