2000年12月30日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉主要国で原発から抜け出す流れが広がっているのにたいし、電力会社は「日本はドイツなどと違って島国だから、国外からの電力輸入はできず、原発に頼らざるをえない」と宣伝しています。どう考えたらいいでしょう。(鹿児島・一読者)
〈答え〉ヨーロッパでは、ドイツ、スウェーデンが原発を廃止していくことを決め、デンマーク、オーストリアが原発を導入しないことを決めるなど、原発に依存しないエネルギー政策をとることが大きな流れになっています。ヨーロッパでは、電力の輸出入もおこなわれていますが、各国の主要な政策方向は再生可能エネルギーへの転換を重視することにあります。デンマークでは、それによりエネルギー自給率を一〇〇%以上に高めています。EU(欧州連合)としてもエネルギー資源に占める再生可能エネルギーの割合を二〇一〇年までに一二%へ倍増する計画をもっています。
日本の場合、エネルギー政策の最大の問題点は、原発の大増設とプルトニウム循環方式に頼りきるという、世界の主要国で放棄された危険な政策にしがみついていることにあります。昨年十一月に政府の原子力委員会が決定した「原子力の研究開発利用長期計画」でも、この方向に固執し、「原子力発電はわが国の基幹電源」としています。この政策をやめ、「低エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの開発をすすめながら、原発からの段階的撤退をめざす」(日本共産党第二十二回大会決議)という方向へ転換してこそ、原発に依存しないエネルギー政策の展望もひらけます。
わが国は、太陽光、風力、小水力、地熱、バイオマス(有機物利用)など、再生可能エネルギーのもつ可能性に大きなものがあり、これらの開発を本格的に推進し、低エネルギー社会を実現することによって、原発から段階的に撤退することが可能です。
再生可能エネルギーの物理的潜在量は、政府資料によっても太陽光で一億七千三百万キロワット、風力で三千五百万キロワットあるのをはじめ、原発の発電容量である約四千五百万キロワットの数倍にのぼると推定されています。エネルギーの研究・開発予算も原子力中心になっているのを改め、その一割にもみたない再生可能エネルギーの研究・開発予算を抜本的にふやすことが必要です。
(学)
〔2000・12・30(土)〕
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