〈答え〉 公明党が消費喚起に力があったと宣伝してきた地域振興券(商品券)は、もともと消費刺激・地域振興の効果が疑問視されて「天下の愚策」といわれ、”自民党は、公明党をとりこむ思惑から、公明党の「商品券」構想を受け入れた”と指摘されたものでした。地域振興券は、九八年の臨時国会で七千億円の予算がつけられ、九九年一月から四月にかけ、十五歳以下の子どものいる世帯、老齢福祉年金などを受給する六十五歳以上の高齢者を対象に、一人二万円分が配られました。
昨年八月、経済企画庁は、地域振興券の消費喚起効果を試算し、「消費の押し上げ額は二千二十五億円程度」で、GDP=国内総生産の個人消費を〇・一%程度押し上げると推定されるとのべました。これは、消費刺激効果が小幅でしかなかったことを政府自身が裏付けるものでした。
昨年十二月に発表された、経済企画庁の九九年版『経済の回顧と課題』(通称・ミニ経済白書)では、個人消費を〇・一%程度押し上げるという推計も消え、むしろ交付金額の多くが貯蓄に回されたことを強調するものになっています。年金者世帯では「地域振興券で受け取った額の六五%をとりあえずは貯蓄に回し」、子ども世帯も「年収が多いほど貯蓄に回った比率が高いが…年収が四百万円未満の世帯でも、六八%を貯蓄に回し」たとのべています。
結局、地域振興券は、交付世帯の多くが生活必需品の購入を現金の代わりに振興券でおこなったにすぎず、当初から指摘されたように交付金額の多くが貯蓄に回されたこと、景気対策として失敗だったことが明白になっています。
国民の消費を拡大し、景気を回復させるためには、将来不安をなくし、消費拡大効果の確実な消費税減税やリストラ規制を含めた雇用拡大策などの施策を緊急に実施する必要があります。(豊)
〔2000・1・24(月)〕
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