ダイオキシン対策の展望は?


 〈問い〉 ダイオキシン対策の特別措置法が十五日から施行されましたが、汚染問題の解決に向け、どのような展望がひらけるのでしょうか。(東京・一読者)

 

 〈答え〉 昨年、超党派の議員立法で成立した「ダイオキシン類対策特別措置法」が一月十五日に施行されました。新法は、人が一生とり続けても安全とされる耐容一日摂取量(TDI)を四ピコグラム(体重一キログラム当たり)と定め、あわせて大気や水質、土壌の環境基準や、排ガス、排水中のダイオキシンの規制基準が決められました。

 これまで規制対象外だった小型のごみ焼却炉(一時間の焼却能力五十キログラム以上二百キログラム未満)にも規制が拡大されますが、既存施設の八〇ナノグラムという緩い暫定基準は残されました。土壌汚染については、一グラム当たり二五〇ピコグラム以上を調査対象とし、一〇〇〇ピコグラムを超えた場合には除去等の対策をとることにしています。焼却灰等についても一グラム当たり三ナノグラムという基準が決められました。

 日本共産党は、塩化ビニール製品の規制などダイオキシン発生の未然防止や食品安全基準の制定などを明記した独自案を提案しましたが、今回の法律には盛り込まれませんでした。また魚介類の汚染対策に欠かせない海や河川の泥についても、まだ基準が定められていません。人のダイオキシン摂取の多くは食品経由であり、今後これらの不十分な点を改善していく必要があります。

 具体的な対策としては、知事が汚染状況を常時監視するとともに、焼却施設などの設置者にダイオキシン類の排出状況の測定・報告を義務づけ、知事が公表します。基準違反には、知事が改善命令をおこなうことができます。また、大気の環境基準を達成できない地域への総量規制や、環境基準を超える汚染土壌の除去対策なども定められました。

 政府は二〇〇二年度末までにダイオキシン類排出量の九割削減(九七年比)をめざしていますが、住民監視を強め、法にもとづく措置をきちんとおこなわせることが必要です。

 なお政府は、違法な野焼きの罰則強化などの廃棄物処理法改正案や資源循環型社会基本法案などの今国会提出を予定しています。(野)

〔2000・1・29(土)〕



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