〈答え〉 自民党などは、憲法を占領軍から押しつけられたものだといいますが、いまの憲法には、ファシズムに反対してたたかった連合国の勝利にもとづく世界と日本の民主勢力の声と運動が反映しており、押しつけ憲法という議論は当たりません。押しつけという問題でいえば、憲法改悪の議論こそ、アメリカ仕込みであることがわかります。
憲法の施行は、一九四七年五月三日ですが、その翌年二月、アメリカの国防長官フォレスタルが、陸軍省に日本の再軍備をさせる研究をせよと注文を出し、同年五月、報告書をまとめました。結論の中心は、(1)軍事的な観点からのみ考えるならば、日本に二十万から三十万ぐらいの軍隊を早くつくらせ、日本列島と在日米軍基地の防衛にあたらせることが望ましい、(2)しかし、現時点では、それをすぐやるのはむずかしい、日本の経済力も弱いし、なによりも「新憲法とポツダム宣言の廃棄」を必要とするから、強力な国際的反対にぶつかる、(3)だから憲法「改正」は将来の適当な時期の問題としてすぐ調査研究にかかる一方、いまは七万程度の「警察隊」をつくることが適当で、それは現憲法のわく内でできる、というものでした。
この構想は、すぐには実現しませんでしたが、一九五〇年、朝鮮戦争が始まると、連合軍総司令官マッカーサーが指令を出し、日本に自衛隊の前身の「警察予備隊」をつくらせました。前後して、アメリカは、もっと公然とした再軍備に日本をふみ出させるために、憲法改定を早くやるべきだという要求をもち出すようになりました。五一年に米統合参謀本部が国防長官に出した覚書には、憲法改定を早く日程にのぼせ、本格的に日本軍をつくれ、陸軍十個師団からはじめて海軍もというアメリカの要求が書かれています。これらの事実は、アメリカ政府の外交文書公開で明らかになったことですが、今日の改憲論の源流がアメリカにあることをはっきり示しています。
日本共産党は、国会に設置された憲法調査会の中でも、憲法の先駆的な値打ちとあわせ、改悪論の源流がどこにあるかの歴史的調査を提起しています。(豊)
〔2000・2・21(月)〕
機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。 |