労働者犠牲の雇用保険改悪とは?


 〈問い〉 労働者犠牲の雇用保険改悪案が国会に提出されたそうですが、改悪の中身を詳しく知りたいと思います。(茨城・一読者)

 

 〈答え〉 政府が今国会に提出した雇用保険法改悪案は、失業給付の大幅引き下げと保険料率の引き上げを主な内容とするものです。

 法案は、失業者を「自発的失業者」と、解雇などによる「非自発的失業者」に分け、自発的失業者の給付日数をほぼ半分に減らしています。たとえば四十五歳以上六十歳未満の人の場合、雇用保険に二十年以上加入した人は、支給期間三百日が百八十日に減らされます。

 政府は、解雇など特別の理由による非自発的失業者を「特定受給資格者」と名付け、ここに給付を重点化したいといっています。四十五歳以上六十歳未満の人の最長給付日数が、百三十日とこれまでより三十日長くなっていることなどをさしています。これは、まやかしです。実際、六十歳以上六十五歳未満の人は給付が減らされる上、六十歳未満の人たちも、これまでの「個別延長給付」制度(特別の事情で就職が困難な人にたいし、法律で定められた給付日数に六十日から九十日追加支給できる制度)が廃止されるため、実質的に給付日数が削減されることになります。

 法案はまた、労使折半で負担する保険料を、これまでの千分の十一から千分の十二に引き上げています。

 政府は、失業率が増え雇用保険財政が悪化したことを法案提出の理由にしています。しかし、雇用保険財政の悪化は、政府が有効な不況対策をとらず、リストラ・解雇を野放しにするなど政府みずから保険の財政基盤を掘り崩していることからきています。この問題にメスを入れず、リストラの被害者である労働者に犠牲を押しつけるのは本末転倒です。

 いま必要なことは、日本共産党が雇用危機打開の「緊急提案」(九九年十一月八日)で提起したように、異常なリストラ・解雇をおさえるなど、雇用を守り、拡大する施策を緊急に実施するとともに、現行の雇用保険制度を柔軟に活用するなどして、失業者の生活を保障することです。(藤)

〔2000・2・26(土)〕



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