社会保障にどのくらいまわしたら?


 〈問い〉 「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」という逆立ちした財政では、国民の暮らしはよくなりません。日本共産党は、社会保障にどのくらいまわす必要があると考えていますか。(北海道・一読者)

 

 〈答え〉 国政と国民生活とのかかわりをヨーロッパ諸国と比較すると、日本では公共事業への支出が予算の主役なのにたいし、ヨーロッパ諸国では、国民生活を支える社会保障の方に公的支出の大きなウエートがかかっています。日本ではご指摘のように、社会保障には公共事業への支出の四割相当しかまわされていません。諸外国では、公共事業の三倍から六倍もの予算が社会保障の分野に支出され、資本主義のもとでもそれが当たり前の状態になっています。

 日本では、社会保障にまわる予算が少ないだけではありません。年金・医療などの社会保険を含めた社会保障給付費の国民所得に占める割合は、日本一五・二%、アメリカ一八・七%、イギリス二七・二%、ドイツ三三・三%、フランス三七・七%で、その低さは日本がだんとつです(厚生省「平成8年度社会保障給付費」)。

 日本共産党は、社会保障給付の水準を、ヨーロッパ並みに一挙に引き上げることはできないとしても、それに近づけることを目標にすべきだと考えています。

 政府は、”給付を増やすなら、負担も増やさなければならない”とよくいいます。しかし、日本では、国・地方合わせた財政の多くの部分が巨大公共事業の浪費などにまわっているため、欧米諸国と比較すると、税金と社会保険料をあわせた国民負担にたいし、社会保障の給付が異常に低くなっています(図参照)。現在と同じ負担でも、給付率をアメリカ並みに引き上げれば約十兆円、ヨーロッパ並みに引き上げれば約二十兆円の給付が増える計算になります。(豊)

〔2000・2・27(日)〕



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