2000年10月2日(月)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 パート労働者への賃金差別の是正にかかわる重要な判決に、丸子警報器の裁判の判決があるそうですが、どういう判決なのですか。(千葉・一読者)
〈答え〉 丸子警報器の裁判とは、自動車部品メーカー・丸子警報器(長野県丸子町)で働く二十八人の女性臨時社員が、既婚女性であることを理由に「臨時職員」とされ、正社員と同じ仕事、同じ労働時間なのに賃金は正社員の六割しかないのは不当だとし、会社に賃金格差などの支払いを求めた裁判です(九三年提訴)。
長野地裁上田支部は、九六年三月十五日、訴えを認め、原告らへの賃金差別は労働基準法などの差別禁止規定にてらし違法とする判決を出しました。
判決は、「およそ人はその労働に対し等しく報われなければならないという均等待遇の理念が存在」するとして、同じ勤務年数の女性の正社員の八割以下の賃金は違法だと指摘しました。そして、会社側は原告らを臨時社員として固定化して雇用し続け、二カ月の雇用更新を形式的に繰り返して、女子正社員との間にいちじるしい賃金格差を維持・拡大させたとし、総額千四百六十万円を支払うよう命じました。
会社側は、控訴しましたが、昨年十二月、東京高裁で、労働者側が全面勝利する和解が成立。月給制、一時金や賃上げ、退職金の支給計算が正社員と同じになるなど、実質的な正社員化をかちとりました。
いま、千百万人を超えるパート労働者をはじめ、さまざまな形の不安定雇用が急増し、賃金など待遇上の差別が広範に存在しています。
それだけに、今国会の代表質問(九月二十七日)で日本共産党の阿部幸代議員が指摘したように、丸子警報器の判決の到達点を踏まえて、パート労働者について、通常労働者との不当な差別待遇を禁止し、真に平等待遇を確立するパート法の抜本改正が急がれます。(豊)
〔2000・10・2(月)〕
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