2000年10月 5日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日ロ間の領土問題の解決は、先の首脳会談でも進展がありませんでした。日本共産党は、領土問題解決のために、いま何が必要だと考えていますか。 (熊本・一読者)
〈答え〉 日ロ間の領土問題の解決をはかる上で大事なのは、まずロシアと日本の歴史的な国境線はどこかをしっかり踏まえて交渉する必要があるということです。千島列島は、十九世紀後半の日ロの平和的な領土交渉で日本への帰属が決まりました(南千島は一八五五年の日魯通好条約で、北千島は一八七五年の千島・樺太交換条約で)。ですから、交渉の出発点は、日ロの歴史的境界――千島列島全体が日本に帰属していることを示す――をしっかり踏まえることです。
さらに交渉でとりわけ大事なのは、日本が第二次世界大戦の戦後処理の誤りを正すという立場でのぞむ必要があることです。今日の領土問題の大もとには、第二次大戦の戦後処理の際、ソ連のスターリンが、連合国の「領土不拡大」原則に反して千島列島の引き渡しを要求し、米、英がこれを認め、日本政府が、サンフランシスコ講和条約で千島列島の放棄を宣言(二条C項)した問題があります。ですから日本政府は、領土交渉に当たり、この誤った戦後処理を正面から正すという、国際法上も論拠のある道理ある立場でのぞんでこそ、世界もロシア国民も納得しうる、問題解決の展望をえることができるでしょう。
ところが自民党政府は、交渉に当たり、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)の南千島は「サ条約で放棄した千島列島には属さない」という、国際的に通用しない論を立て、もともと北海道の一部で千島列島に含まれない歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)と合わせて返還要求を四島に限定。北千島を最初から領土要求からはずす態度をとってきました。その上、四島についても、国境線を画定するだけで、施政権はロシアに残すという譲歩提案をするなど、一方的に譲歩を重ね、日本側の後退だけが既成事実として残るという事態になっています。
この間の日ロ交渉の経過は、日本共産党の主張の重要さを裏づけていると考えます。
(豊)
〔2000・10・5(木)〕
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