2000年10月 7日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日米の間で、TMD(戦域ミサイル防衛)の共同研究をすすめることが問題になっています。TMDとは、どういうものですか。
(高知・一読者)
〈答え〉 TMD(Theater Missile Defense=シアター・ミサイル・ディフェンス、戦域ミサイル防衛)は、大気圏外から飛来してくる弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすというアメリカの軍事構想です。九八年十月、日本政府は、日米共同で技術研究することを決定し、TMDのなかのNTW(海軍戦域広域)防衛システムで、日本から遠い海域に出動した自衛隊のイージス艦からミサイルを発射して撃ち落とす研究をすすめています。
アメリカが日本に開発参加をせまり、配備させようとしているのは、アメリカが戦争に突入したさい、在日米軍・基地を防衛させるためです。二〇〇一年度の米国防報告は、TMDの役割について、「アメリカの国家安全保障上の利益を守るために行動する展開部隊を防護するために不可欠」とのべています。
TMDの開発・配備は、大きな流れとなりつつあるアジアの平和努力に水を差し、新たな軍事緊張と軍拡のバネになります。どんな弾道ミサイルも撃ち落とすということは、相手のミサイルを恐れずに攻撃をしかけることができるようになることです。そのため、対象とした相手国は、これをも上回る攻撃能力をもとうとします。
すでに中国とロシアは「緊張を激化させる」(四月の外務次官級協議)と表明。中国は日本の対米協力への批判を強めています。
秒速四キロメートルで飛んでくる直径一メートル程度のミサイルを撃ち落とすようなことができるかどうかは、技術的にも疑問視されています。そのような高度な技術が必要なため、開発・配備には一〜二兆円もかかるといわれます。また、配備後も、維持運用などで巨額を要します。
国民生活防衛のためにも、TMD計画を中止させなければなりません。
(山)
〔2000・10・7(土)〕
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