2000年10月8日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 NATOの「新戦略概念」という方針は、軍事同盟の変質を意味するような危険なものだそうですが、どんな方針なのですか。(奈良・一読者)
〈答え〉 アメリカを中心とする世界最大の軍事同盟NATО(北大西洋条約機構)は、昨年四月の首脳会議で「新戦略概念」を採択しました。
その核心は、これまで大義名分にしていた「侵略にたいする共同防衛」という建前をかなぐりすてて、干渉と介入の戦争に同盟国を動員する軍事同盟へと、公然とした変質をとげたということにあります。
第一に、NATО地域外の「周辺地域」にたいして積極的に軍事介入することを宣言しました。
NATОも、もともとの建前は、NATОの加盟国が武力攻撃を受けたさいに、共同で防衛にあたるというものでした(第五条)。しかし「新戦略概念」では、NATОの加盟国が攻撃を受けていなくても、「欧州・大西洋地域とその周辺」で「地域危機」がおこったら、それが他国の内政にかかわる問題であっても、干渉と介入のための共同の軍事行動をおこなうことを宣言したのです。昨年のユーゴにたいする空爆は、その最初の実験でした。
第二に、他国にたいする武力攻撃を、国連の決定なしで、国連を無視してでもおこなうことを、公然と宣言しました。
NATОが「新戦略概念」を打ち出すにあたって、アメリカ政府高官は“NATОは国連の下にはたたない”として、NATОが国連を無視して行動することを事実上宣言したのです。
こうした軍事同盟の変質は、国連憲章が定めた世界平和の秩序――各国の内政には干渉しない、国際的な武力の行使は国連の決定による、各国の勝手な軍事行動は侵略への自衛反撃以外は認められない――を根底からくつがえして、アメリカの横暴勝手な覇権主義を、世界の新しい原理にすえ、それに同盟国を動員しようとする、きわめて危険なくわだてです。(豊)
〔2000・10・8(日)〕
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