“パート労働者の平等処遇は国際的原則”とは?

2000年10月9日(月)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 パート労働者の処遇の平等という原則は、国際的に確立しているということですが、具体的に教えてください。

(神奈川・一読者)

 

 〈答え〉 諸外国でもパート労働者は年々増加し、ILO(国際労働機関)やヨーロッパ諸国ではフルタイム労働者との均等待遇や差別を禁止する条約や法律を制定しています。

 ILOが、一九九四年に採択した「パートタイム労働に関する条約(第一七五号)」は、同じ事業所や企業で、同じ仕事をするフルタイム労働者との同等の労働条件の確保などを明記しています。賃金については、パート労働者の賃金の基準が同じ条件のフルタイム労働者の基準より低くならないように各国の法律や慣習を整備することを求めています。また労働組合の結成をはじめとする団結権、差別の禁止、雇用の終了についての権利の保障、安全・健康や母性保護、有給休暇や病休など賃金にかかわる権利は時間比例で決めることを明記しています。

 EU(欧州連合)は、九六年に代表的な労働組合組織、産業経営者団体、公共企業体連合体が「パートタイム労働協約」を結び、協約実現のため「パートタイム労働指令」を採択(九七年)。指令は加盟国にたいし、二〇〇〇年までに、パートタイム労働者への差別をなくし不利な待遇を受けないこと、パートからフルタイムへの転換、労働時間の延長、解雇等のルール、職業訓練の促進などの実現のため、法制化を含む必要な措置をとることを義務づけ、パート労働者の平等処遇を進めています。

 日本の「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法」(パート労働法、九三年)は、パート労働者と一般労働者は労働時間の長短以外は同じ権利をもつという基本的原則や労働条件の均等待遇を定める規定がなく、労働条件の改善を事業主の努力にゆだねた不十分なものです。

 日本共産党は、パート法案審議にあたり、パート労働者の権利と平等待遇の保障、賃金、雇用、退職金など労働条件の改善のため抜本的な修正案を提案しました。パート労働者が増加するなか、引き続いて、国際的基準でもあるILOパート条約の批准とともに、現行パート法の抜本的改正を実現するため力をつくします。

(山)

〔2000・10・9(月)〕

 

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