2000年10月22日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 大企業は、さまざまな形で税制上の優遇を受けているそうですが、どんな措置なのですか。
(兵庫・一読者)
〈答え〉 法人税は、益金(収入)から損金(費用)を差し引いた所得(利益)に一定の法人税率を乗じて算出されますが、益金を過少に計算したり((1))、損金を過大に計算したり((2))することができるなら、同じ税率でも法人税額は少なくなります。また、「税額控除」といって、その法人税額からさらに差し引く((3))ことができれば、法人税額はもっと少なくなります。大企業は、この三つの方法で、本来払うべき法人税を大まけしてもらっています。これが、大企業優遇税制です。
(1)の例。大企業は株式を持っている子会社から配当金を受けますが、配当金の八〇%は益金に入れなくてよいことになっています(受取配当益金不算入制度)。この制度は、形式上はすべての企業に適用されますが、資本金一千万円程度の中小企業に受取配当があるはずがなく、実際は大企業しか利用できません。九八年度の受取配当は一兆七千五百億円。大半は大企業のものです。
(2)の代表的な例は引当金、準備金です。将来発生するかもしれない費用、あるいはその何割かは発生するであろう費用を前もって積み立てておこうというものです。実際に費用が発生した時に損金に入れればいいものを、“発生するかもしれない”等の理由で、大企業全体では何兆円も課税対象からはずすわけです。国民の批判もあって政府は、九八年に一部引当金を廃止するなどしましたが、海外投資損失準備金、プログラム等準備金などは手付かずのままです。
(3)の例で、いちばん金額が大きいのが外国税額控除です。これは、大企業の海外子会社や出資会社がその国で支払った税金を“自分が払った”として、日本の法人税から差し引く制度です。なかには、減免措置などを受けて払っていない税金を払ったものとみなす「みなし税額控除」もあります。このため、ソニーや三菱自動車が法人税ゼロ(九六年)という事態も生まれました。
戦後最悪の財政破たんに陥った日本の財政を再建するためには、これら大企業優遇税制の是正が不可欠です。
(本)
〔2000・10・22(日)〕
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