日本共産党

 外国人の地方参政権は憲法に反する?

2000年10月26日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 永住外国人に地方参政権を認めることは、公務員の選定罷免権を「国民固有の権利」と定めた憲法にふれるという意見があります。どう考えたらよいのでしょう。

(大阪・K生)

 

 〈答え〉 憲法一五条一項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」とのべています。この規定をとらえて、自民党の一部などから永住外国人への地方参政権付与は憲法違反になるという議論が出されています。

 しかし、この規定は、“公務員の選定罷免権は、国民が当然もつべき権利、決して奪ってはならない権利だ”という意味であって、永住外国人に地方参政権を保障することを、憲法が禁じているわけではありません。

 一九九五年二月二十八日の最高裁判所判決は、憲法の規定する地方自治は「住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという」政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨だといい、永住外国人にたいし「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」とのべています。

 住民自治は、「地方自治の本旨」(憲法九二条)の重要な内容をなすものであり、憲法九三条は、自治体の長および議員は「その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」と定めています。また地方自治法は、その住民について、「市町村の区域内に住所を有するもの」(一〇条)と規定しています。これらの規定に照らしても、自治体の運営は、本来、国籍を問わず、その地域に在住するすべての住民の意思にもとづき、住民自身の参加によってすすめるべきものです。

 いま、永住外国人の地方参政権実現を求める地方議会の意見書決議は、全国三千三百自治体の三分の一以上にのぼり、世論調査も多くの国民が地方参政権を支持しています。日本共産党が今国会に提出している永住外国人地方参政権法案は、こうした声にこたえるものです。

(根)

〔2000・10・26(木)〕

 

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