日本共産党

危険なプルトニウム路線とは?

2000年10月30日(月)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 原発開発にかかわって、政府のすすめるプルトニウム路線の危険性が指摘されています。どのような路線なのですか。

(大阪・一読者)

 

 〈答え〉 日本の原発は、軽水炉という型で、ウランの核分裂エネルギーを利用して発電します。ところが、燃料となる天然ウランには、核分裂するウラン(U‐235)は〇・七%しか含まれず、残り九九・三%は核分裂しないウラン(U‐238)です。軽水炉は、核分裂するウランを三〜四%までに濃縮した燃料を使いますが、原子炉内の核反応では、核分裂しないウランの一部が核分裂するプルトニウム(Pu‐239)になります。使用済み燃料を再処理すると、プルトニウムとウラン、死の灰(高レベル放射性廃棄物)が取り出されます。このプルトニウムを高速増殖炉という新しい原発の燃料として使えば、使った以上のプルトニウムがつくられ、これをまた新たな燃料として使うというのがプルトニウム路線です。

 軽水炉で、天然ウランを使えば数十年でなくなるが、プルトニウム路線でいけば、数千年も使えるとして、高速増殖炉は、「夢の原子炉」ともいわれました。

 しかし、もともとプルトニウム自体、ウランの一万倍から一億倍といわれる放射能をもち、核兵器にも転用できる危険な物質です。さらに、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故、東海再処理工場の火災・爆発事故に見られるように、この方式をすすめる過程の一つ一つに技術的に未解決な問題が多く、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスは、早くからこの方式をやめる方針を決めました。

 それにもかかわらず日本政府はいまなお、プルトニウム路線にしがみつき、たまるプルトニウムの処理に困って、現在稼働中の原発(軽水炉)でプルトニウムを使用する計画(プルサーマル計画)を進めようとしています。

 日本共産党は、国民の未来に危険をもたらす原発大増設とプルトニウム路線を中止し、低エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの開発をすすめながら、原発からの段階的撤退をめざすべきだと主張しています。

(豊)

〔2000・10・30(月)〕

 

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