2000年11月11日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 政府・与党は、健康保険財政の危機を理由に健康保険法を改定し、高齢者に負担をかぶせようとしています。このいい分をどう考えますか。(広島・一読者)
〈答え〉 今回の健康保険法改悪の重大な内容の一つは、老人保健法を改悪し、一割の定率負担にすることで、高齢者に負担をかぶせようとしていることです。政府・与党は、老人医療費が増える一方、健康保険財政が赤字であることを改悪の理由にしていますが、これはまったく筋違いの負担おしつけです。
政府は、八〇年代以来、次々に医療制度を改悪し、医療費にたいする国庫負担を削ってきました。医療費に占める国庫負担の割合は、八〇年度三〇・四%だったのが、九七年度には、二四・四%と六%も削られました。このため、老人医療費を支える各保険財政からの拠出金が膨らみ、健康保険赤字の大きな要因になっています。
しかも、老人医療費への拠出金を分担する各種の健康保険(大企業の労働者が加入する組合健保、中小企業の労働者が加入する政府管掌健保など)は、企業のリストラと賃金低下で保険加入者数が減り、保険料も減収になり、保険財政の赤字に拍車をかけています。
このように保険財政悪化のおおもとには、国庫負担を大幅に減らし続けてきた政治の責任の問題があります。この責任を不問に付して、高齢者に負担を押しつけることは、許されません。
政府は、高齢者の自己負担を増やすことで医療費を抑えようとしていますが、こんなことをすれば深刻な受診抑制を招いて早期発見・早期治療を困難にさせ、かえって医療費を増大させる悪循環に陥ることになります。
重要なのは、高齢者に犠牲をしいるのではなく、大幅に減らした国庫負担を元に戻すなどして、保険制度全体の赤字を解決することです。同時に、高すぎる薬価や医療機器の価格構造にメスを入れることや、早期発見・早期治療の体制を保障し、国民の健康づくりに力を注ぐことが大切です。
(豊)
〔2000・11・11(土)〕
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