2000年11月20日(月)「しんぶん赤旗」
〈問い〉アメリカ主導のIMF路線が破たんしてきているとのことですが、IMF路線とは、どのようなものだったのですか。(宮崎・一読者)
〈答え〉 国際通貨基金(IMF)は、世界銀行とならんで戦後つくられた国際的金融機関です。国際的な通貨協力による貿易の拡大、そのための為替相場の安定と為替制限の撤廃を目的としていますが、最大の発言力をもっているのは、アメリカです。
IMFは、とくに一九七〇年代に発展途上国の累積債務問題が重大化して以降、いわゆる「構造調整政策」――経済破たんをおこした国にたいして、緊急融資とひきかえに、国民犠牲の緊縮財政や規制緩和をおしつけ、一国の経済主権を奪うというやり方をとってきました。
たとえば九七年七月にタイのバーツ下落をきっかけにアジア通貨危機が起きたとき、アメリカが主導するIMFは、タイに総額百七十二億ドル(八月)、インドネシアに四百十二億ドル(十一月)、韓国に五百八十四億ドル(十二月)の緊急融資を決めるとともに、融資の条件として一連の「構造調整政策」をおしつけました。
タイにたいしては、付加価値税の七%から一〇%への引き上げ、電力・水道等の公共料金の引き上げ、ノンバンク四十二社の営業停止、均衡財政を実現することなどを約束させました。
韓国の場合は、経常収支赤字の削減(輸入削減)、金融引き締め(インフレ抑制)とともに、金融機関のリストラ、輸入制限措置の廃止、外国投資の枠拡大など、いっそう資本市場の自由化を促進すること、さらに労働者解雇制度の導入、鉱物石油税・所得税・法人税の引き上げ、経常支出のカットを盛り込みました。
しかし、こうしたIMF路線は、各国で実体経済を冷え込ませ、賃金切り下げ、企業倒産や金融機関の破たん、失業の増大、増税、物価高、生活福祉・教育関連予算の削減をもたらすなど、経済と国民生活に重大な打撃をあたえ、失敗しています。
(正)
〔2000・11・20(月)〕
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