日本共産党

IT基本法案の問題点は?

2000年11月23日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 国会で審議中のIT基本法案には、問題がいろいろあるようです。どんな問題点があるのですか。(埼玉・一読者)

 

 〈答え〉 IT(情報技術)基本法案は、森内閣が「日本型IT社会」を実現するとして提出したもので、「高度情報通信ネットワーク社会の形成」の推進、重点計画の作成などをうたっています。

 しかし、審議を通じて明らかになっているのは、何よりも、ITを社会全体に役立つよう活用し、その成果を国民すべてが受けられるように本格的な対策をとるという、基本的な観点がないことです。法案には、「高度情報通信ネットワーク社会の形成」上欠かせない、民主主義や国民生活・文化の発展に資するという根本的な理念がありません。「情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会」の実現を旨とするとの文言がありますが、具体的施策の裏付けがなく、「恵沢の享受」を国民に保障するものになっていません。

 衆院の参考人質疑では、障害者団体の薗部英夫さん(全国障害者問題研究会事務局長)が、「いつでも使える通信環境の整備と人的サポートこそ、国としてやってほしい」「もっと本格的な、『すべての人のための』IT基本法を」と求めました。ITの発展は、人類の文化・技術の歴史の中でも画期的な一段階を開きつつありますが、その一方で、地域、年齢、所得によるインターネット普及率の違いなど「デジタル・デバイド」(情報格差)も生まれています。

 アメリカの電気通信法は、すべての国民が低料金で利用できること、過疎地や離島でも都市と同等の料金、学校・図書館・医療機関などへの低料金サービス、障害者がアクセスし使用できることなどを明記しています。

 法案は衆院を通過しましたが、日本共産党は、衆院で、基本法にふさわしく法案の目的に「我が国の民主主義及び国民生活と文化の発展並びに公共の福祉の増進に資すること」を明記することや、ITの利用を国民の権利としてうたうことなどを内容とする修正案を提出。参院でも法案を国民の求める方向に改めるため奮闘中です。

(高)

〔2000・11・23(木)〕

 

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