原発増設で日本政府のいい分は?

2000年11月30日「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 ヨーロッパでは原発をやめる国が増えているのに、日本政府は逆に増やそうとしています。日本政府は、どんないい分ですすめようとしているのですか。
(東京・一読者)

 〈答え〉 政府の原子力委員会が七月に公表した「原子力研究開発利用長期計画」(原子力長期計画)案は、原発増設路線の継続を宣言するとともに、その理由として二点をあげています。

 一つは、「国内に天然資源が乏しく」、「原油に対する輸入依存度は99・7%」だとして、原子力などの「石油代替エネルギー」への転換が必要だということ。もう一つは、地球温暖化の原因とみられる二酸化炭素など温室効果ガスを削減するため、「温室効果ガスの発生の少ない原子力」への転換が必要だということです。

 しかし、こうしたいい分で原発推進を合理化することはできません。ドイツが六月に原発全廃を決めるなど、欧州で原発からの離脱が大きな流れになっているのは、原発が未完成の技術で大きな放射能事故を起こす危険があり、使用済み核燃料の処理・処分技術も確立していないからです。日本政府が「安全神話」にもとづく原発大増設とプルトニウム路線に固執することは、国民を危険にさらすものです。再生可能エネルギーなどの代替エネルギーの開発をすすめながら、原発からの段階的撤退をめざすべきです。

 石油に代わる代替エネルギーについていえば、原子力以外にも、太陽光や風力、地熱、バイオマス(生物資源)、小規模水力などの再生可能エネルギーがあります。ところが日本政府は、国内でまかなうことができ、かつ温室効果ガスなどの心配もなく地球環境にもやさしいこれらの開発には、ほとんど熱意を示してきませんでした。現に、二〇〇〇年度予算では、原子力関係予算が約四千七百二十六億円なのにたいし、新エネルギー関係予算はそのわずか五分の一の約九百三十四億円にすぎません。

 ヨーロッパなど主要国では再生可能エネルギーの開発にも力を入れています。エネルギー研究開発支出のうち再生可能エネルギーの研究開発に回している割合は、日本と比べてドイツが九倍、イギリスが五倍、アメリカが四倍、国際エネルギー機関(IEA)加盟国平均も二倍超になります(九七年)。 (た)

  〔2000・11・30(木)〕


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