2000年12月2日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 今の財政下で社会保障を充実させるには消費税率のアップもやむをえないという意見があります。どう考えたらよいでしょうか。(千葉・一読者)
〈答え〉 与党の自民党、公明党などは、社会保障経費の増加と連動して消費税率を引き上げる消費税の「福祉目的税化」をかかげています。
消費税のアップと社会保障をリンク(連結)させる議論でまず指摘する必要があるのは、それが庶民に増税か社会保障の切り下げかという“不毛の選択”を強いることになることです。社会保障の水準を維持し向上させてほしいとのぞめば消費税増税を迫られ、それがいやなら社会保障水準の切り下げを迫られ、どちらも庶民に悲惨な結果しかもたらしません。
これからの社会保障の財源は消費税率のアップでしかまかなえないのかといえば、そんなことはありません。
現在、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本の主要五カ国中、社会保障への国庫支出の対GDP(国内総生産)比は日本が最低で、イギリスの約四分の一、ドイツの約二分の一です。これは自民党政治が、ゼネコン中心の公共事業や大銀行支援などのばく大な税金のムダ遣いをする一方で、社会保障への国庫支出を削ってきたことによります。このような逆立ちした財政運営を改めるなら、消費税の増税なしに危機に陥った財政を再建することと社会保障を充実させることを両立させることができます。
日本共産党は当面、公共事業の段階的半減や大企業・高額所得者優遇の不公平税制の是正などの歳出・歳入両面の改革で、財政再建をすすめながら、年間十兆円の国民向け予算を確保できることを明らかにしています。この予算で社会保障の充実は十分に可能です。
将来的には、税制、社会保険制度の抜本的改革で社会保障の財源を確保することができます。その際大切なのは、大企業や高額所得者に応分の負担を求める応能負担原則を日本でも貫くことです。例えば、欧州に比べて低くおさえられている大企業の保険料負担を増やし、高額所得者にたいする保険料の頭打ち制度を見直すなどの改革をおこないます。 (松)
〔2000・12・2(土)〕
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