2000年12月6日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 生命保険会社の倒産、経営破たんが目立ちますが、なぜこういうことが起きるのですか。国民生活への影響はどうでしょうか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 今年になって第百、大正、千代田、協栄と、生命保険会社が相次いで破たんしましたが、四社の破たんには共通した理由があります。最大の理由は、超低金利時代になり、会社の実際の資金運用利回りが、予定利率(保険会社が契約者に約束している「運用利回り」。ほとんどの生保商品は、固定金利)を下回る「逆ざや」状態になり、債務や損失が累増したことです。
保険会社は、バブル経済のころから、五〜六%という高い予定利率の個人年金保険、終身保険、養老保険等、貯蓄型の生保商品を競って拡大しましたが、重荷に耐えられなくなったのです。また、集めたばく大な資金を開発・不動産や外国債などリスクの高いものに投資し、損失を拡大してきたのも大きな要因です。保険会社の放漫経営を、長年放置してきた監督官庁(元大蔵省、現金融庁)にも重大な責任があります。
保険会社が債務超過で破たんすると、破たん会社を引き継ぐ受け皿保険会社や生命保険契約者保護機構(預金保険機構の生保版)の資金援助を受けても、保険契約者に犠牲が強いられます。保険契約が他の保険会社等に移転され、予定利率が引き下げられ、契約時に約束していた保険金は一部を除いてほとんど保障されなくなります。それならと、保険解約をしようとすると解約返戻金が少なくなります。他の保険会社に転換しようとしても、高齢者にはきびしい条件がつき、当初契約時の保険金額を確保しようと思えば、保険料が相当高くなる仕組みになっています。低い公的年金を補完するために民間保険と契約しているのに、一方的に契約者の生活設計を狂わすやり方は許されません。
日本共産党は、この問題で政府の対応の甘さを追及(山口富男質問・十一月一日衆院大蔵委)するとともに、生保会社の破たん処理と契約者の保護は、生保業界の責任と負担でおこなうべきだと主張しています。(樋)
〔2000・12・6(水)〕
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