2000年12月7日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 オペラなどクラシックの生演奏を楽しむには、高い料金を払わねばなりません。良質の音楽や舞台を低料金で楽しめればどんなにいいでしょう。この問題をどう考えますか。(東京・一読者)
〈答え〉 日本の舞台芸術関係の料金は、世界一高いといわれます。これは、芸術文化を国や自治体が責任をもって振興するのでなく、あべこべに文化分野にも「規制緩和」「競争原理」を導入し、創造団体には舞台だけで生活できない状況を、愛好者には高価なチケット料金をもたらしているからです。また、オペラを含め、外来ものの料金がとりわけ高いのは、ホール・劇場の使用料が高いことが一因になっています。公共ホールも、「民間と均衡をとる」という立場に立つところが多く、民間と比べ料金は決して安くありません。また、バブルの時代に外国の著名歌手のギャラを競ってつり上げたことも影響しています。
ヨーロッパの主要な国々では、国民の文化を楽しむ権利(文化権)を保障するという立場から、オペラやオーケストラ、演劇などの料金が低く抑えられています。これは、市場原理にまかせたのではやっていけないオペラやオーケストラなどにたいし、手厚い公的助成がおこなわれているからです。フランスは、一九四六年以来、憲法前文で「国は文化への平等なアクセス(接近)を保障する」と定めています。
日本共産党は、文化を自由につくり、楽しむことは、国民の基本的権利だという「文化権」をつらぬく立場から、国や自治体はこの権利を保障する条件整備を責任をもっておこなうべきだと主張してきました。
具体的には、九五年の「文化提言」などで、創造団体への助成を事業助成(赤字になれば助成する)から運営助成(一つひとつの事業への散発的な助成ではなく、団体の運営全体を助成する)に変える、芸術団体にたいし税制上の優遇措置をとる、フランスで実施されているようなハーフチケットデイ(チケット料金の半分を自治体などが補てんする制度)を設ける、などの提案をしています。
(常)
〔2000・12・7(木)〕
機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会 〒151−8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7 |