2000年12月14日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党は、芸術・文化への公的助成は、事業助成でなく運営助成にと主張していますが、運営助成とはどのような方式なのですか。(北海道・一読者)
〈答え〉 日本の芸術・文化への公的助成は、個々の事業を対象にし、事業が赤字を出した場合に、その半額程度を助成するという、「事業助成」の方式が大半です。これにたいし、「運営助成」は、個々の事業への散発的な助成ではなく、人件費を含め、日常的な団体の運営全体を公的に助成し、支えるという助成方式です。
現在の助成が「事業助成」の方式であることから、芸術・創造団体は、日常の維持・運営に大変苦労しています。例えば音楽文化に重要な位置を占めるオーケストラは、維持・運営に多額の経費を要し、それを全部入場料でまかなおうとすると、一席あたり一万円以上になります。これでは、多くの国民が生演奏を聞くことができなくなりますし、それを楽団の自己努力で補おうとすれば、演奏家は過密スケジュールや副業を余儀なくさせられます。劇団の場合は、重要な要素である養成事業がやれなくなってしまいます。助成方式を事業助成から運営助成に改め、日常的に文化・創造活動を公的に支えてほしいという声は、文化芸術関係者からの強い要望になっています。
ヨーロッパ諸国では、運営助成方式は当然の制度として確立していて、都市だけでなく、地方の町でも、ホールや劇場があるところでは座付きのオーケストラ、オペラ団、バレエ団、劇団があり、それぞれが運営全般に公的助成を受けています。入場料が安いのも、公的な支えがあればこそです。
日本共産党は、文化を自由につくり、楽しむことは国民の基本的権利だという立場から、九五年の「文化提言」以来、助成方式を創造活動の実態にあった方式に変えるべきだと提案してきました。関係団体の要求は、強まりました。文化庁は、九六年度予算から「アーツプラン21」という文化支援計画の中で、事実上「運営助成」といっていい助成の仕組みを作りました。
(靖)
〔2000・12・14(木)〕
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