2001年1月 6日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 最近、欧州連合(EC)が合意したニース条約とは、どういう条約ですか。マーストリヒト条約というのもありますが、どういう条約ですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 ニース条約は、EUが昨年十二月、南仏ニースで開いた首脳会議で合意したEUの基本条約です。
EUの母体は、一九五八年に発足した欧州経済共同体(EEC)。これが欧州石炭鉄鋼共同体(五一年創立)と欧州原子力共同体(五八年発足)を加え、六七年に欧州共同体(EC)に発展。九三年発効のマーストリヒト条約でEUとなり、加盟国もEECの六カ国から十五カ国に拡大しました。
EEC設立の条約をローマ条約といい、現在も維持されています。ここでは経済統合の達成などが規定されています。
EU設立の条約がマーストリヒト条約で、九二年にオランダのマーストリヒトで調印されたことから、この名があります。この条約は、ローマ条約に欧州共通外交・安全保障政策、司法・内務協力を加えたものです。ECのもとですでに進んでいた通貨統合に決着を付け、九九年一月の単一通貨ユーロ発足(十一カ国参加、今年一月からギリシャも参加)に道を開いたのもこの条約です。
マーストリヒト条約は、九七年に改正され(アムステルダム条約)、「多段階統合」などを盛り込みました。ニース条約はこれをさらに改正するものです。
ニース条約は、決議機関である閣僚会議での多数決制の適用範囲の拡大や各国の投票権の再配分、執行機関である欧州委員会の委員数の変更、欧州議会の各国定数の変更などを盛り込んでいます。
今回の改正の眼目は、いま予定されている中・東欧諸国などを加え加盟国が二十七、八カ国に倍加しても各国の公平な代表権を保障するとともに、統合をさらにすすめる場合に、加盟国の拒否権を発動できる分野を制限することでした。しかし、税制・社会保障などいくつかの共通政策決定で全会一致制を残しました。一方、特定の先行的な共通政策の推進は八カ国で可能とされたため、今後EU内に統合の「先進」、「後進」のグループ化が生じる恐れも指摘されています。
(弘)
〔2001・1・6(土)〕
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