2001年1月 17日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党は、日米関係にかかわってアメリカの国家戦略研究所が出した特別報告を重視していますが、どんなことが書かれているのですか。(静岡・一読者)
〈答え〉 ご指摘の特別報告は、昨年十月、アメリカ国防大学「国家戦略研究所」が発表した「合衆国と日本――成熟したパートナーシップに向けての前進」と題する報告書です。作成に携わったのは、元国防次官補のアーミテージ、キャンベル、ナイの各氏をはじめ、民主、共和両政権下で対日政策策定にかかわってきた専門家ら超党派グループです。報告は、日米軍事共同作戦体制の障害を除去するためとして、自衛隊が後方支援だけでなく、前線に出て米軍と共同行動できるよう、集団的自衛権を採用すべきだと要求しているのが特徴です。
報告書は、ソ連崩壊後、日米同盟は目的を失って「漂流した」、日米同盟を改善し「再活性化」させる必要があると強調します。そして、「改定された米日防衛協力指針は、太平洋をまたぐ日米同盟における日本の拡大された役割の基礎であって、その上限と認識されるべきではない」「日本が集団的自衛権を否定していることが、同盟協力を束縛するものとなっている。これを撤回することは、より緊密で効果的な安全保障協力を可能にする」とのべています。
報告書は、その上に、有事立法の制定を含む日米防衛協力指針の実施、米三軍と対応する自衛隊との大規模協力、自衛隊のPKО参加規制の撤回、米日ミサイル防衛協力の拡大などを要求。「いまや、負担の共有(バードン・シェアリング)から力の共有(パワー・シェアリング)にいたるとき」だとして、日本は軍事力も担う必要があると結んでいます。
報告書は、集団的自衛権という言葉を使っていますが、その意味するところは、NATO(北大西洋条約機構)軍のユーゴ空爆が示すように、実際には、「自衛権」とは無縁のアメリカによる世界的な一方的軍事介入への参戦です。
自衛隊が米軍の軍事行動に参加する場合、前線での共同までおこなえるようにすべきだという提言は、日米軍事同盟を新たな危険な段階に変質させるものとして黙視できません。
(豊)
〔2001・1・17(水)〕
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