日本共産党

社会保障給付費72兆円の数字をどう見る?

 2001年1月 18日(木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 社会保障給付費が七十二兆円になったという報道がありました。日本共産党が、公共事業五十兆円、社会保障二十兆円の逆立ち財政を指摘してきたこととの関係を含め、この数字をどう見たらよいのでしょうか。(東京 R・H)

 

 〈答え〉 社会保障給付費は、年金、医療、介護など社会保障の分野で、税金、保険料などの社会保障財源から国民に支払われた給付の総額をいいます。昨年暮れに、国立社会保障・人口問題研究所がまとめた九八年度の社会保障給付費がご指摘の報道の数字で、前年比三・九%増になっています。

 これにたいし、日本共産党が公共事業五十兆、社会保障二十兆と指摘してきたのは、財政が公共事業や社会保障にどのぐらい使われているかを示す数字です。ですから社会保障二十兆円というのは、社会保障給付財源から保険料などを除いた公的負担(国や自治体の負担)の額です。今回の国立社会保障・人口問題研究所のデータを見ても、九八年度の社会保障給付中の公的負担は、二十二兆円(国庫負担十七兆円、自治体負担五兆円)にすぎません。

 その社会保障給付費七十二兆円も、国内総生産(GDP)にたいする社会保障給付費の割合の国際比較で見ると、日本一四・〇二%(九八年)、アメリカ一五・一〇%(九五年)、ドイツ二八・二一%(九六年)、スウェーデン三三・一一%(九六年)というように、日本は欧米各国と比べて大きく立ち遅れています。

 この立ち遅れの背景にあるのが、日本共産党が指摘してきた財政のあり方の逆立ちです。この間、自民党政治は、浪費的公共事業への支出を膨らませる一方、社会保障財源の中に占める国庫負担の割合を次々に減らしてきました。一九八〇年度は国庫負担二九・二%であったのが、九八年度は一九・二%ですから、この間に一〇%も減っています。同時に、国民にたいしては、医療、年金、雇用などの保険料・利用料値上げを含め、負担増を次々に押し付けてきたのがこの間の実際です。

 逆立ちした財政を国民の暮らし、社会保障中心に転換させる課題は、いよいよ切実さを増しています。(豊)

  〔2001・1・18(木)〕


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