日本共産党

財界の成果主義賃金論をどう考える?

 2001年1月27日(土)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 財界が“これからは一律賃上げではなく成果主義賃金で”と主張していることについて、どう考えますか。(愛知・一読者)

 

 〈答え〉 成果主義賃金論のいい分は、賃金は年齢や勤続でなく労働者個人の業績・成果を評価して決める、業績・成果の評価で年収が増減する仕組みの方が従業員の意欲を引き出せるというものです。これは、リストラ推進の中で賃金上昇を抑える一方で、労働者に競争と労働強化をしいて、もうけをあげようという手前勝手な賃金論です。

 成果主義賃金のねらいの一つは、これが高コスト体質の是正と競争力強化、人減らしリストラと一体のものとして唱えられてきたことが示すように、人件費総額を抑えることにあります。ですからこの賃金体系のもとでは、少数の労働者の年収が増えることはありえても、多数の労働者の賃金は昇給をストップさせられ、評価が悪ければ給与が下げられることになります。

 成果主義賃金のもう一つのねらいは、「成果」をめざす労働者同士の競い合いを意識的に利用し、労働者の団結した力を分散させることにあります。

 この賃金論には、企業活動の全体的、総合的な評価で決まる業績を個人の成果としてはかるという根本的な矛盾があります。結局、業績評価は会社による恣意(しい)的なものにならざるをえません。成果主義賃金を導入した民間大企業などの職場で、「こんなにがんばっているのになぜ評価が低いのか」といった不満が出るのは当然です。

 賃金の本質は、労働力の価値(価格)であり、他の商品と同様に再生産費(労働者と家族の生計費プラス修業費)で決まります。

 成果主義賃金の導入を許さず、過密労働を規制し、同一労働同一賃金の原則を確立させながら、労働者の生計費を満たし、専門性や熟練度で上積みする賃金制度を求めていくことが重要です。成果主義賃金が導入されたところでは、会社の恣意的査定を許さず、評価の開示原則(ディスクロージャー)の確立を求めていくことです。

(豊)

〔2001・1・27(土)〕

 


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