〈問い〉 世界の流れに逆らって原発を推進する法律ができたそうですが、どんな法律なのですか。(福島・一読者)
〈答え〉 ご指摘の法律は、与党の自公保が議員立法で提出し、昨年十二月に成立させた原発立地推進法です。法律は、総理大臣が知事などの申し出にもとづいて原子力発電施設の立地地域を指定し振興計画を決める、その計画にもとづいて道路、港湾等の公共事業を支援し、国は事業費の五%を新たに上乗せして補助する、というものです。
東海村での核燃料の臨界事故(九九年)は、原発の「安全神話」の破たんとともに、二十一世紀のエネルギーを原子力に頼ることの危険性を裏づけました。一昨年、スウェーデンが原発の全廃に踏み出したのに続き、昨年はドイツが原発全廃を決めるなど、原発計画の中止は世界の流れになっています。臨界事故の教訓も世界の流れも無視し、むしろこうした状況への危機感を背景に原発新設を強引に進めようというのが、この法律です。
これまでも政府は、地域振興を名目に電源開発促進対策特別会計(電源特会)で金と公共事業による原発推進を図ってきました。これは、立地自治体から毎年地域振興の要望が出されているように、地域振興になりませんでした。今度の法律も、電源地域の振興を理由にしていますが、実態は道路、港湾といったむだの多い公共事業への上積みが中心で、地域振興への実質的な支援策は定められていません。自民党政治が長い間進めてきた大型開発中心の公共事業は各地で破たんし、自治体財政を危機に陥れています。道路、港湾等のむだの多い公共事業に税金をばらまくことは、地域振興に役立たないばかりか自治体財政をいっそうゆがめることにもなります。
日本共産党は、審議の中で、このような法案は撤回すべきだと主張し、反対しました。
いま求められるのは、危険な原発大増設の政策を中止し、低エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの開発をすすめながら、原発からの段階的撤退をめざすこと、地域振興では、農漁業をはじめ地場産業の振興を軸にした対策だと考えます。(豊)
〔2001・3・1(木)〕
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