日本共産党

ヨーロッパでの大型店規制の実情は?

 2001年3月25日(日)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 ヨーロッパでは、地域経済を守るために大型店の出店は厳しく規制されていると聞きました。実情を知りたいと思います。(神奈川・一読者)

 

 〈答え〉 ご指摘のように、ヨーロッパの主要国では、七〇〜八〇年代に大型店などの郊外出店の加速によって街が空洞化した反省に立ち、大型店の進出にたいする規制を強化してきました。

 フランスでは、中小商店の保護と都市計画の適正化を目的とした「商業・手工業の方向性に関する法律」(旧ロワイエ法)により、大型店の出店にたいし事前許可制度を取っています(九六年に改正強化、通称ラファラン法)。

 同法は、売場面積三百平方メートル以上の店舗の新設を事前許可の対象としており、売場面積が千平方メートルを超える計画には、申請の際に区域内の商業や雇用への影響等を分析した書類の添付が必要とされています。さらに、六千平方メートルを超えるものは、公聴会の開催とあわせて、全国ベースの商業施設委員会(CNEC)での公共調査が義務付けられています。CNECは、中心市街地と周辺地域との都市圏の均衡、過疎地や山岳地帯における経済産業活動の維持、商業競争の確保、環境保護などの観点から許可審査をしています。

 イタリアは、「商業規制改革法」で、売場面積百五十平方メートル(人口一万人超の市町村では二百五十平方メートル)以上の商店の新規開業を市町村長による許可制(売場面積四百平方メートル以上では、州の許可も必要)としています。さらに、千五百平方メートルを超える計画は、事前に州・県・市町村の三者で構成する「開業審査会」による審査を受けなければなりません。

 イギリスは、「都市・田園計画法」により、都市計画の観点から出店や建築に対する規制をしています。環境運輸省では、都市空洞化防止や周辺地の景観保護等の観点から、大型店をなるべく街の中心に設置するよう求める通達を出しています。

 日本では大型店の出店を調整していた大規模小売店舗法が廃止され、出店は原則自由となりました。そのため各地で中小商店が苦境に立たされています。地域経済や雇用を守るために、大型店の身勝手を許さないルールづくりとともに、商店街活性化への積極的なとりくみが求められます。(た)

〔2001・3・25(日)〕

 

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