2001年3月29日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 青年の失業が増えている問題で、政府は「青年の職業意識が不十分」なせいだといっているそうです。このいい分をどう見ますか。(東京・一読者)
〈答え〉 青年の失業率は約一〇%で、全世代平均の二倍以上。ところが森首相は国会で、深刻な青年の失業増の原因について、「若年者の職業意識が不十分だから」といいました。失業増の責任を青年に押しつけるこういう議論は、間違っています。
総務庁によれば、この十年間に、十五歳から二十五歳までの完全失業者は三十六万人から七十万人へ、失業率は四・三%から九・二%へ大きく増えました。しかしこの時期、自分の意思で離職した若者の割合は減っています。増えたのは、学校を卒業しても就職先がなかった若者の割合です。一三・九%から二〇・八%へと大幅な増えようです。離職の理由をみても、「労働条件が約束と違う」というのが若い世代ではどの年代層と比べても高く、就職の希望も、どの年代層よりもこの世代が高くなっています。
これらの事実が示しているのは、若者は働く意欲を持っている、でも企業の側の新規採用の抑制で職につけない(九二年から今日まで十年足らずに四割も減っています)、職についても賃金が極端に低い、サービス残業が押しつけられるなど、ひどい労働条件のため働き続けられない、ということです。
その責任は決して青年にあるのではなく、企業の側にあり、その企業のリストラ、やりたい放題を応援する政治の責任ではないでしょうか。
長期にわたって新規採用を減らし続ければ、社会全体にも深刻な影響が及びます。教員の新規採用が、この十年間で三万三千人から一万一千人へと三分の一に減らされ、全国各地の学校で若手教員が不足して、「顧問のなり手がいなくて部活ができない」などの問題がおきているのは、その典型です。
いま日本社会は働く若い力を必要としているというのが本当のところです。政治こそ責任をもって青年に生きがいある仕事を保障すべきなのです。
(充)
〔2001・3・29(木)〕
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