「建国記念の日」に反対するのは?


〈問い〉 二月十一日は「建国記念の日」ということになっていますが、日本共産党はこれに反対しています。なぜですか。(愛知・一読者)

〈答え〉 「建国記念の日」は、もともと天皇を神格化し、その政治を美化した戦前の「紀元節」を復活させたもので、主権在民を定める憲法の民主主義の原則に反しています。日本共産党は憲法の国民主権の原則と言論・思想・信教・学問の自由を守る立場から「建国記念の日」に反対しています。

 「紀元節」は、初代天皇とされる神武(じんむ)天皇が、「辛酉(かのととり)年春正月」の一日に即位したという『日本書紀』の記述にもとづき、一八七三年、明治政府が太陽暦に換算して二月十一日と定めました。神武天皇が即位してから日本の歴史が始まり、その子孫による統治は永遠に変わらないものだとする天皇中心の非科学的な歴史観です。

 明治政府は「紀元節」の日を選んで大日本帝国憲法を発布(一八八九年)するとか、「雲に聳(そび)ゆる高千穂の……」という「紀元節」の歌を小学校などで歌わせ、日露戦争の開戦をこの日にあわせるなど、国民に皇国史観と軍国主義をおしつける機会としてきました。

 しかし明治政府の説明どおりだとすると、紀元前六六〇年二月十一日が神武天皇即位の日となります。そのころの日本はまだ縄文時代で、文字や暦も知られていませんでした。階級も発生しておらず、天皇もいませんでした。神武天皇が実在しない人物であることは歴史学の常識です。二月十一日を「建国記念の日」とする科学的な根拠はありません。

 戦後「紀元節」は憲法の主権在民の原則に反するものとして廃止されました。ところが、自民党政府は一九六七年から「建国記念の日」として復活させました。これは、その後の元号法制化、「日の丸」「君が代」の教育現場への押しつけなど、教育の反動化、憲法改悪の動きとむすびついたものです。

 このように二月十一日の「建国記念の日」は、憲法の主権在民の原則に反するものであり、これを祝う民間の式典を政府が後援することや首相、閣僚、衆参両院代表の出席はやめるべきです。(絹)

〔1999・2・11(木)〕

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