部落問題の現状は?


〈問い〉 部落問題は解消しつつあるといわれていますが、現状はどうなのでしょう。(新潟・一読者)


〈答え〉 部落問題は、江戸時代の身分制度のもとで最下層におかれていた「えた」「非人」への不当な身分差別が、明治以降も半封建的なものとして残ったものです。戦後日本国憲法に基本的人権の保障が明記され、部落解放運動など民主主義の発展をめざす国民的な運動が前進。部落の住環境や生活実態についてはかつてのような格差は是正され、差別を許さない国民の意識も大きく前進してきています。

 こうした状況のなか、二十八年間にわたり特別法ですすめられた同和事業は、一九九七年三月末、基本的には終了。同和行政として特別扱いせず一般行政のもとで対応する段階にはいり、地方自治体でも、同和行政を終結し一般行政に移行するのが流れとなっています。

 一方、六〇年代半ばころから「部落民以外は差別者」とする部落排外主義に陥って、行政と癒着し同和事業を私物化して利権をあさってきた「解同」(部落解放同盟)は、「同和事業がなくなれば食い上げだ」として「部落差別撤廃条例」や「人権条例」などの「解同条例」を自治体につくらせ、特別法なきあとも乱脈な同和行政に利権を確保しようと巻き返しにでています。

 また「解放教育」と称する公教育への乱暴な介入、「部落の子」調査、人権侵害の「差別糾弾闘争」、「部落民宣言」の強要など、部落問題を解決するどころか、温存・固定化する策動を強めています。

 こうしたもとで、国は同和行政はやめながらも、実質的には特別対策を残す動きを強め、九六年に「人権擁護施策推進法」を制定。同和問題を「人権」問題の中心問題であるかのように位置づけています。その結果、同和行政を恒久化する自治体(大阪府・市)や、「人権・啓発」の名で事実上同和事業・同和教育を存続させる自治体もでています。

 こうした逆流を許さず、憲法の民主的原則にそくして融合をすすめる国民的努力によって部落問題は解決されていくべきです。(絹)

〔1999・3・25(木)〕



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