〈問い〉 環境ホルモンについて、どう規制していく考えですか。(三重・一読者)
〈答え〉 動物が卵子と精子の受精から発生、成長し、子どもを生み、一生を終える間、さまざまなホルモンが作用します。その正常な作用を妨げるのが環境ホルモンです。環境ホルモンは、従来考えられなかった希薄な汚染でも生物の生殖機能などに障害を生じ、世代をこえて人間と生態系に重大な被害を及ぼす危険をもっています。とくに胎児期の影響が大きいと考えられています。
現在この作用は科学的に十分解明されてはいませんが、現段階で明らかな事実にもとづき、生物の生息環境からこれらの物質を遮断する対策が必要です。
少なくとも環境庁が環境ホルモンである可能性があるとしている約七十種の化学物質について、それらを含む製品名や環境に排出されるルート、食品などへの汚染経路を明らかにし、人体への侵入を防ぐ措置をとることです。安全な代替品への転換や、危険性の程度に応じて、生産禁止や回収・安全処理などの措置をメーカーの責任でとることも必要です。
どの物質が環境ホルモン作用をもつかの調査も重要です。米国環境保護庁は、環境ホルモン作用の有無をチェックすべき物質は、農薬、化粧品、食品添加物、プラスチック添加剤など八万七千以上あるとしています。それらの作用、自然環境でどう変化するか、複合汚染時の作用などの研究を本格的に進める必要があります。新しい化学物質を市場にだす場合、メーカーによる事前の安全確認を制度化することも重要です。
すでに進んでいる環境ホルモンによる汚染とその影響も心配です。環境ホルモン物質による環境汚染とその野生生物への影響を調べることは、人間の安全を守るためにも重要です。環境庁の昨年の調査では、全国百三十地点の河川、湖沼、地下水、海水のうち、七〇%以上の地点でなんらかの環境ホルモンが検出されています。国として生態系への影響との関係などをより本格的に調査し、その結果に応じた環境汚染防止対策が求められます。(堀)
〔1999・4・19(月)〕
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