〈答え〉 ご指摘のように、日本のテレビ番組には、暴力や殺人場面がひんぱんに出てきたり、露骨な性表現があるものがたくさんあります。子どもたちへの影響を多くの人が心配しています。
日本は、昨年六月に国連子どもの権利委員会から、「印刷・電子・視聴覚メディアの有害な影響、とくに暴力及びポルノグラフィーから子どもを保護するため、法的なものを含めてすべての必要な措置をとるよう勧告」されたように、国際的にみてもとりくみが遅れています。
世界各国では、子どもに配慮した暴力や性表現にかんする詳細な基準があったり、青少年に配慮した放送時間帯の設置、番組内容の事前表示などがされています。
欧米などとりくみが進んでいる国では、露骨な暴力シーンや性表現が子どもたちに大きな影響を与えるという認識のもと、国民的な対話と運動があります。それを背景に、放送業界は詳細な自主基準を定め、機能させるための苦情受付機関も設けています。テレビの子どもへの影響にかんする調査研究も長年積み重ねられています。
日本でも、親や教育関係者、研究者、市民団体らと放送関係者の対話やとりくみが始まりつつあります。
日本共産党は昨年四月、子どもと教育をめぐる社会的な危機を打開するために、(1)学校教育の抜本的改革(2)道義ある社会をめざす(3)テレビ・雑誌など文化面で社会の自己規律を確立する、国民的な討論と運動を呼びかけました。
昨年来、暴力や性表現の度合いで番組をランク付けし、あるランク以上の番組を各家庭の判断で映らないようにできるVチップ制度の導入の論議が、政府主導で進められました。しかしこの問題を考えるにあたっては、「上からの規制」でなく、放送関係者を含めた視聴者・市民の側の運動を広げていくことを基本にすることが必要です。(春)
〔1999・4・22(木)〕
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