〈答え〉 現在国会では、住民基本台帳法改正が審議されています。これは、すべての国民に十ケタの住民票コードをつけてコンピューターネットワークにのせ、全国センターで一括管理し、それを活用して新しい個人認証システムをつくろうとするものです。日本共産党はこの法案に反対しています。
いま、住民票請求など行政の手続きを簡素化・じん速化してほしいという国民の要求があります。確かに今回の法改正により、こうした声にこたえ、行政の事務の効率化を図る面があります。
しかし一方で、住民基本台帳のリストが売られるなど違法な個人情報の漏えい事件がおきたり、知らない企業から突然ダイレクトメールが送られてきたりすると、不安を感じる人が多いのも事実です。行政が個人情報を扱う場合、こうした不安を国民にいだかせてはいけません。
日本には一般的プライバシー保護法がなく、国民のプライバシー保護が不十分です。中央のコンピューターに全国民の個人情報を集め、国の機関や都道府県に拡大すれば、個人情報の大量漏えいにつながりかねないことが危ぐされます。
また、政府はこのシステムを民間団体には利用させないといっていますが、個人認証制度の利便を優先して考えれば、諸外国のように民間企業が採用人事や契約などのために行政のデータにアクセスしようという動きもでてくるでしょう。システムを税金の徴収に活用しようという議論もあり、その場合金融機関などにデータをしらせなければならなくなり、民間企業に利用が広がる可能性があります。
八百九十五の自治体(九八年三月現在)では住民基本台帳コンピューターの「外部との接続禁止」を条例で定めており、住民のプライバシー保護条例との矛盾も考えられます。市民団体、法律家、自治体の労働組合の中にも、個人情報の利用拡大にたいする反対や疑問の意見がでています。行政がどのようにして個人情報を管理し、国民にサービスしていくか、国民的な合意が必要です。(寺)
〔1999・5・17(月)〕
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