消費税として徴収したお金は何に使われた?


 〈問い〉 消費税が導入されて以降、政府が徴収したお金はいくらになり、それは何に使われているのでしょうか。(広島・中本敏夫)

 

 〈答え〉 一九八九年四月一日の消費税導入以降、九九年三月末までの十年間に、政府が徴収した消費税は約七十一兆円です(決算ベース)。国民一人当たり約五十七万円、四人家族で約二百二十八万円です。

 国民から吸い上げた消費税が何に使われたかを見るために、消費税の導入や税率引き上げの目的は何かを検討する必要があります。政府の側は、「高齢化社会のため」とけん伝しましたが、政府税調の会長自身「そう説明したが、本当はああいえば一般の人に分かりやすい」と、口実にすぎないことを告白しています。それでは、本当の目的は何で、結局何に使われたのでしょうか。

 政府は直接税と間接税の比率を七対三から六対四にするなど、間接税を増やすために「所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系を構築」としてきました。これは、財界の「所得税、法人税を減税し、消費税を基幹的な税制に」との要望にこたえたもの。消費税導入後の十年間で、法人税は約十九兆円から十一兆七千億円に軽減され、一般会計の歳入にしめる割合も、三四・六%から二三・四%に下がり、超高額所得者に手厚い減税もおこないました。一方、消費税は、税収で約四兆から十兆二千億円になり、割合も五・六%から二〇・三%と約四倍です。法人税減税や大金持ち減税のかわりに消費税が充てられたのです。

 しかも、導入にあたり、自民党の幹部は「実質的に防衛費を伸ばすという(米との)約束」のため「間接税というものを重視」とのべました。また、税率引き上げの際に政府が強調したのは「歳出面の諸措置の安定的な維持」や危機的な「財政状況」です。そこで、消費税を導入した八九〜九八年度までの各年度における歳出の増加額の合計を八八年度と比較すると、社会保障関係費一・四九倍にたいして、軍事費二・三三倍、経済協力費三・二二倍、公共事業関係費三・八九倍。このことからも消費税は、高齢化社会のためでなく、ゼネコン本位の公共事業や経済協力費、軍事費などに使われてきたといえます。(俊)

〔1999・7・5(月)〕



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