「大東亜共栄圏」「八紘一宇」とは?


 〈問い〉 西村真悟前防衛政務次官の発言が問題になっていますが、その中に「大東亜共栄圈、八紘一宇を地球に広げる」とあります。この「大東亜共栄圈」「八紘一宇」とはどういうことなのでしょうか。(群馬・こばやしさちこ)

 〈答え〉 どちらも日中戦争、太平洋戦争でアジアへの侵略をすすめるために日本の天皇制政府が使ったスローガンです。

 「大東亜共栄圈」は、日本を盟主としてともに繁栄すべき東アジア(=東亜)の諸民族・諸国の意味です。「八紘一宇(はっこういちう)」は、全世界を天皇のもとに一つの家とするという意味で、「八紘」は四方と四隅つまり世界・天下のこと、「宇」は家のことです。このことばは、神武(じんむ)天皇が、橿(かし)原宮で即位した際にのべたとされる『日本書紀』のことばをもとに、明治時代の学者がつくったものです。

 日本は一九三一年、「満蒙は我国の生命線である」をスローガンに中国東北地方への侵略を開始。三七年からは中国への全面的な侵略を展開しました(日中戦争)。

 四〇年に発足した第二次近衛文麿内閣は、「基本国策要綱」で「皇国の国是は八紘一宇とする肇(ちょう)国の大精神に基(もとづ)き世界平和の確立を招来することを以(もっ)て根本」とするとうたい、「皇道の大精神に則(のっと)りまづ日満支をその一環とする大東亜共栄圈の確立をはかる」(松岡外相の談話)ことをめざしました。

 「満蒙」への侵略に始まった侵略戦争を、伝説上の初代天皇神武の発した「八紘一宇」という「肇国の大精神」にもとづいて「大東亜共栄圈」確立のために拡大していく、というのがこのスローガンでした。

 これをかかげて日本は、四一年からは東南アジア諸国への侵略をすすめ(太平洋戦争)、四五年に敗北、アジア太平洋諸国に犠牲者二千万人以上という史上最大の惨害をもたらしました。

 西村氏の発言はこうした侵略戦争を美化する異常なものです。(絹)

 〔1999・11・11(木)〕



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