叙勲制度をどう考える?


 〈問い〉 秋の叙勲がありましたが、勲○等○○章という叙勲制度はどのように生まれたものですか。そして受章者はどのようにして決まるのですか。日本共産党は叙勲制度についてどう考えていますか。(福島・一読者)

 〈答え〉 叙勲とは、天皇の名で勲章を授与し、一定の勲等を与えることをいいます。現在、大勲位に二階級、旭日章に九階級、宝冠章に八階級、瑞宝章に八階級があり、春と秋に約四千数百人ずつ授与されています。

 叙勲制度は、一八七五年の太政官布告「勲章従軍記章制定ノ件」に始まり、戦前は爵・位階・褒(ほう)章とともに天皇から与えられる恩典で、さまざまな特権が付与されていました。天皇の命令による戦争で活躍することを、最高の名誉と考えるように国民をしむけ、侵略戦争にかりたてる役割を果たしました。

 第二次世界大戦後、国民のなかに軍国主義の一掃、政治・社会の民主化の要求が高まり、文化勲章など一部を除き、生存者への叙位・叙勲は停止(一九四六年五月)。ところが天皇の元首化を狙う自民党政府は、戦前の「栄典」制度の復活をすすめ、生存者叙勲制度を、名称も戦前そのままに復活させました。

 叙勲を管轄するのは総理府賞勲局です。内閣官房長官、総理府総務長官、内閣法制局長官、賞勲局長を含む「栄典に関する有識者会議」が「叙勲推薦要綱」を作成。それにもとづき各省庁が都道府県、市町村、関連団体、政府・公共機関に推薦を求めます。候補者にかんする資料を総理府賞勲局が審査し、上級勲章については三長官会議で検討し、最終的に閣議で受章者が決定されます。叙勲の基準は賞勲局で決められていますが、公表されていません。

 日本共産党は、社会の進歩と発展にとくに重要な貢献をした人にたいし、国として公正な基準にもとづいて一定の「章」を授与することを、否定していません。しかし現在の叙勲制度は、戦前の制度を実質的にひきつぎ、天皇元首化の動きの一環となっており、そのまま認めることはできません。ですから、日本共産党所属の国会議員とその経験者にたいする叙勲の申し出にたいし、辞退することを表明してきました。(絹)

〔1999・11・14(日)〕



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