これまでの調査で、核分裂したウランは約一ミリグラム、その約半分は最初の三十分ほどで反応したことがわかり、事故直後の約三十分間の被ばく線量は、事故現場から八十メートルで七十五ミリシーベルト、三百五十メートルで一ミリシーベルトと推定されています。住民の行動調査とあわせておこなっているこうした被ばく線量調査では、すぐに何か症状が出るという水準ではありませんが、がんなどの確率的影響等、住民に不安があるのですから、継続的な追跡調査と、症状が出たときの治療支援などが必要です。
地域の重要産業である農・水産物への被害なども深刻です。
原子力損害賠償法(原賠法)は、原子力施設の事故被害にたいする賠償を、原子力事業者に義務づけています。今回の事故は原賠法の初適用となる見込みですが、そのために、政府は、紛争の和解仲介と原子力損害の調査・評価のため、原賠法にもとづく原子力損害賠償紛争審査会を設置しました。具体的な補償範囲は今後の話し合いによりますが、積極的な解決が求められます。
日本共産党の志位和夫書記局長は十月一日、政府にたいして、被ばくした労働者と住民の健康回復に全力をつくすこと、住民、農商工業者の生活と営業への補償を国と企業の責任でおこなうこと、全国の原子力施設の総点検などを申し入れました。小渕総理も、臨時国会での吉井英勝議員の本会議質問にたいして「住民の皆様の健康管理等に万全を期すとともに、…二度とこのような事故の起こることのないよう適切に対処してまいります」と答弁しています。そのすみやかな実施が望まれます。(剛)
〔1999・12・2(木)〕
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