〈問い〉 日本は超低金利時代といわれますが、なぜそうなったのでしょう。アメリカの金利との関係では、日本はどういう役割を果たしているのでしょうか。(東京・一読者)
〈答え〉 金利は金融市場での需要供給の関係で上下しますが、日本銀行は、市場への資金の供給・回収や公定歩合(日銀が民間銀行に資金を貸し出す際の金利)の操作によってこの需給関係に影響を与え、金利を誘導しています。この日銀が財界・アメリカの意向を受けて超低金利政策をとっているため、現在、金利が異様に低くなっているのです。銀行同士が主に無担保でお金を借り、翌日返却するコール市場は「実質ゼロ金利」といわれる状態。公定歩合も九五年九月以来、〇・五%にすえおかれたままです。
日本がこうした超低金利政策をとっている理由は、大きくいって二つあります。
一つは、バブル崩壊で巨額の不良債権をかかえた大銀行を救済することです。銀行の貸出金利と預金金利の差=利ざやが銀行のもうけになりますが、超低金利ではそれがやりやすくなります。銀行は貸出金利の下げ幅を預金金利の下げ幅より小さくすることなどで、拡大した利ざやをがっぽりかせいでいるのです。
もう一つは、日本資金の流入によって、アメリカのバブル経済を支えることです。アメリカの圧力で日本政府が低金利政策を受け入れた八五年のプラザ合意(先進五カ国蔵相・中央銀行総裁会議での合意)以来、公定歩合はバブル最盛期を除いて次つぎと引き下げられ、昨年からはコール市場金利の誘導目標もあいついで引き下げられてきました。この結果、現在の日米の金利差はアメリカの方が五%前後も高くなっています。お金は金利のより高い方に移動しますから、日米の金利差が開くほど、お金は日本からアメリカに移動します。こうして日本資金をアメリカに流入させ、バブル株価を象徴とするアメリカの”好景気”を支えているのです。
しかし、超低金利は、預金金利の低下で家計の利息収入を大幅に目減りさせます(九二〜九七年に二十八兆六千八百億円目減り―経済企画庁)。大銀行の救済とアメリカ経済を支える超低金利政策は、日本国民の犠牲の上におこなわれていることなのです。(解)
〔1999・12・5(日)〕
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