1999年12月26日(日)

 子どもの権利をどう考える?



 〈問い〉 ことしは、子どもの権利条約が採択されてから十年目になりますが、日本共産党は、子どもの権利についてどう考えますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 子どもの権利条約は、国際人権規約などの発展の上に一九八九年に国連で採択されました。

 条約は、子ども観についての国際的到達点ともいえるものです。史上初めて子どもを権利行使の主体ととらえ、子どもの生存権、意見表明権、成長・発達権、保護される権利、市民的自由などを保障しようとするもので、これまでの「子どもはおとなのいうことを一方的に聞くべき存在」としてきた子ども観を大きく変えるものでした。同時に、子どもの権利を保障する政府などの責任を明記した画期的な内容をもっています。

 日本共産党は、綱領に「子どもの権利条約の完全な実施」を明記し、その完全実施をもとめてきました。

 日本政府は、子どもの権利条約批准から五年目のいまも、その実施に消極的です。しかも受験中心の教育で子どもたちの成長、発達がそこなわれ、不登校、学級崩壊などの問題は深刻です。昨年六月、国連子どもの権利委員会は、日本政府にたいし、他のサミット参加国には例をみない厳しい勧告―高度に競争的な教育制度の改善、暴力・ポルノから子どもを保護する措置、児童の虐待および不当な扱いへの対処など二十二項目の勧告を出しています。

 これらは、先に日本共産党が、子どもと教育の問題を日本社会の未来ある発展と存続の根本問題の一つと考え、その危機的状況の打開のためによびかけた三つの内容―(1)子どもの成長と発達に中心をおいた学校教育の抜本的改革(2)社会の各分野で道義ある社会をめざす(3)テレビ、雑誌など文化面で自己規律を確立する努力、と一致するものでした。

 日本政府は、二〇〇一年に「第二回報告書」を提出する予定です。次回の報告に向け、政府が「勧告」にもとづく具体的な措置をとるよう、国民的な世論と運動を広げていくことがいっそう重要です。

 日本共産党は条約と「勧告」の内容の普及、完全実施のために全力を尽くしたいと思います。(み)

 〔1999・12・26(日)〕


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