2001年5月24日(木)「しんぶん赤旗」
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〈問い〉 靖国神社への公式参拝が憲法違反になるというのは、どういう理由からなのですか。(島根 A・G)
〈答え〉 信教の自由・政教分離の原則を定めた日本国憲法第二〇条は、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」「国及びその機関は…いかなる宗教的活動もしてはならない」と明記しています。
この条項は、戦前の国家神道(しんとう)体制と靖国神社などが侵略戦争推進の精神的支柱となっていたことへの反省にたって、憲法に規定されました。
戦前、靖国神社は陸軍省・海軍省所管の軍事的宗教施設でした。「教育勅語」「軍人勅諭」等によって、天皇の命令で「名誉の戦死」をとげ、「英霊」として靖国神社にまつられることが最高の美徳とされました。
戦後、靖国神社は民間の一宗教法人になりましたが、境内には戦争と天皇を賛美する展示品が並べられ、一九七八年には、侵略戦争の直接の責任者のA級戦犯がこっそりと合祀(ごうし=一緒にまつられること)されました。
靖国神社という特定の宗教施設に、国民を代表する首相という「公的機関」が、参拝という「宗教的活動」をおこなうことは、国による一宗教団体の特別扱いにほかならず、信教の自由と政教分離の原則を定めた憲法に反することは明らかです。それは、恒久平和をうたった憲法の精神にも反します。
歴代自民党閣僚などの公式参拝に内外から厳しい批判の声が上がってきたのは当然です。
司法でも「天皇や首相の公式参拝は違憲」という岩手靖国訴訟仙台高裁判決(九一年確定)をはじめ、福岡高裁(九二年)や大阪高裁(同年)でも、公式参拝は違憲とされました。靖国神社への玉ぐし料公費支出を違憲とする愛媛玉ぐし料訴訟最高裁判決(九七年)もあります。
戦争放棄をうたった憲法九条の改憲を口にする首相らの公式参拝の表明は、新たな戦死者(「英霊」)づくりに備えようとする危険な動きです。(平)
〔2001・5・24(木)〕
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