2001年5月30日(水)「しんぶん赤旗」

 「残業を減らし雇用拡大」で、賃金は?


 〈問い〉 残業を減らして雇用を拡大するのはいいが、賃金を下げられると困るという人がいます。どうなのでしょうか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 長時間残業が恒常化しているなか、残業削減は、リストラ解雇の規制とともに、雇用危機打開の要(かなめ)の課題になっています。

 なかでもサービス残業(ただ働き残業)は、割増賃金どころか賃金自体をいっさい払わない明白な企業犯罪であり、その解消は急務です。サービス残業をなくすだけで、九十万人の雇用が増えるという試算もあります(社会経済生産性本部)。サービス残業をなくしても、もともと賃金は払われていないのですから賃下げにはなりません。

 日本共産党は、日本経済の危機打開への「緊急経済提言」のなかで、まずサービス残業をなくし、次の段階で残業そのものの圧縮に取り組むべきことを提唱しています。

 社会経済生産性本部はまた、残業をすべてなくせば二百六十一万人の雇用が増えるとしています。それほど日本では恒常的に長時間残業が行われています。所定労働時間を減らし雇用を拡大しているフランスやドイツとは対照的です。

 日本の財界・大企業は、人員増よりコストの安い残業を無制限に強制する一方、所定内賃金自体は残業代込みではじめて生活できるような低水準に抑えて、多大な利益を得てきました。そのため、残業を減らすと途端に生活が苦しくなるのが労働者の実態です。

 しかし、これはきわめて不当なことです。労働基準法第一条は、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定めています。つまり、一日八時間・週四十時間の法定労働時間だけで(残業なしで)生活できる賃金が最低限支払われて当然なのです。

 ですから、残業なしで生活できる賃金の原則の正当性に確信をもち、残業削減による減収分を手当てや残業割増率の引き上げで補償させる、所定内賃金自体を引き上げるなどのたたかいを同時にすすめることが大事です。(金)

 〔2001・5・30(水)〕


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