2001年6月7日(木)「しんぶん赤旗」
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〈問い〉 共産党が国会で、自然公園内の公共事業のあり方についてとりあげていました。どんな問題があるのか詳しく知りたいと思います。 (静岡・一読者)
〈答え〉 環境省は、九五年から国立・国定公園の核心地域で、自然の保全・復元の強化、快適な利用の確保を建前に、「緑のダイヤモンド計画事業」という事業計画を進めています。支笏洞爺(しこつとうや)、十和田八幡平、中部山岳、白山など七つの国立公園の九地域で、一地域当たり三十億円〜百億円程度の事業費規模です。これらの事業にはムダがあり、環境破壊も懸念されるところから、問題が指摘されています。
例えば十和田湖・奥入瀬(おいらせ)地域総合整備事業。環境省自然保護局作成の基本計画にもとづき、総事業費約五十三億円を見込んで、奥入瀬林床植生自然環境保全修復事業、十和田湖北岸の自然体験フィールド整備事業などが行われています。ところが、事業のうちの歩道デッキ、休憩所通路、十和田湖北岸歩道の計画・施工がズサンで「植生を死滅させる。規模が過大で、工事を中止すべきだ」と地元自然保護団体などから指摘され、整備を取りやめ、規模を縮小せざるを得ませんでした。総事業費は三十七億円に圧縮、青森県からは補助金の約一億円が不用額として国に返還されるなど、予算消化のための過剰な公共事業のあり方が厳しく問われるものとなりました。
日本共産党は、そのほか白山・一ノ瀬地域、中部山岳・立山地域、奥日光・三本松地域、支笏洞爺地域等でも同様の問題があることを指摘し、予算消化のための施設づくり優先の公共事業を抜本的に見直すよう求めました(藤木洋子議員、五月十八日衆院環境委)。川口順子環境相は、「反省することが多い。計画にあたって専門家、NGOの意見を聞いて質の高い自然公園の整備を進めていきたい」と答えざるを得ませんでした。
この問題は、ムダと環境破壊の浪費型公共事業を根本から見直す課題の重要さを端的に示しています。(佐)
〔2001・6・7(木)〕
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