2000年2月24日(木)「しんぶん赤旗」

 大企業優遇による「税の空洞化」とは?


 〈問い〉 税収の空洞化の要因として、大企業と高額所得者への優遇措置の問題が指摘されていますが、具体的にどんな優遇がおこなわれているのか、教えてください。(福岡・一読者)

 〈答え〉 九〇年度決算で六十兆円以上あった国の一般会計税収が、二〇〇〇年度予算では約四十九兆円と約十一兆円(率で一九%)も落ち込んでいます。これにはもちろん不況による影響もありますが、大半は、政府がこの間大企業・高額所得者優遇の制度減税を相次いでおこなったことにより、税収基盤の空洞化が進んだためです。

 たとえば法人税率は、「企業活力」「国際競争力」「景気浮揚」のためなどとする財界のいいなりに、九八・九九年の二年連続改定で、九〇年度以降の三七・五%からいっきょに三〇%まで引き下げられ、約二兆円の減収になりました。

 これによりわが国の法人税率は、イギリスを除けば国際的にも最低水準になっています。しかもわが国の法人税の課税ベースは、九八年度改正で若干拡大されましたが、世界水準からみればいぜんとして類のない狭さとなっており、受取配当の益金不算入、外国税額控除制度、各種税額控除・準備金・特別償却制度など大企業の税逃れを許す仕掛けは残ったままです。

 所得税も九九年度に、八九年度以来五〇%だった最高税率を三七%に引き下げることを中心に、高額所得者優遇の所得税減税がおこなわれ、約三兆円の減収となりました。

 わが国の所得課税で問題なのは、利子、株、土地所得課税が低率の分離課税で高額所得者・資産家優遇になっていることです。二〇〇一年四月以降、株譲渡所得課税は申告分離課税に一本化されますが、それでも売却益の二六%課税で低率です。この間、資産課税としての性格を持っていた有価証券取引税が廃止され、株取引の税負担は大幅に引き下げられました。多くの国のように利子、株譲渡所得課税は勤労所得などと合わせ総合課税化に移行すべきです。

 日本共産党は、税収の空洞化をただす歳入面での改革、とりわけ大企業と高額所得者を不当に優遇している不公平税制をただすことが急務と考えています。(若)

 〔2000・2・24(木)〕


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