2000年3月20日「しんぶん赤旗」

 憲法9条に注目した世界市民平和会議とは?


 〈問い〉 昨年のハーグ世界市民平和会議で、日本の憲法九条が注目されたと聞きました。どんな会議だったのですか。(長野・一読者)

 〈答え〉 ハーグ世界平和市民会議は、ハーグ陸戦条約として知られる戦時国際法をとりきめたハーグ平和会議百周年を記念して、昨年五月、世界のNGO(非政府組織)など市民団体が中心になってオランダのハーグで開かれた国際会議です。「21世紀の国際社会から戦争と軍備をなくそう」という目的で、百余の国から約一万人、日本からも被団協、原水協、青年団、法律家など各分野から約四百人が参加しました。

 日本からの参加者は、広島・長崎の被爆体験、首都東京を含め全土に存在する米軍基地の問題などをふまえ、日本の憲法の恒久平和主義の意義を強く訴えました。また、現地では会議の一環として「核兵器のない21世紀」をアピールする原爆パネル「原爆と人間展」も開かれました。

 会議は、活動指針として「二十一世紀の平和と正義をもとめる課題(アジェンダ)」を採択し、「公正な世界秩序のための基本十原則」を確認しました。その第一項目が、日本の憲法九条に注目したもので、「各国議会は、日本の憲法九条のように、自国政府が戦争をすることを禁止する決議をすること」としています。憲法九条の値打ちが、二十一世紀の世界秩序の先駆けをなすものとして国際的にも注目されている現れの一つといっていいでしょう。

 ちなみに、会議の確認した「基本十原則」の第二項目以下は次のとおりです。(2)国際司法裁判所の強制管轄権の無条件承認(3)国際刑事裁判所設立条約の批准と対人地雷禁止条約の実施(4)政府・国際機関・市民社会の協力による「新しい外交」の追求(5)世界は人道上の危機を傍観してはならない。武力の行使の前に、あらゆる創造的な外交手段がつくされなければならない。その後(武力の行使は)国連の権威の下でおこなわれなければならない(6)核兵器廃絶条約の即時交渉開始(7)小型武器取引の厳格な規制(8)経済上の権利の人権としての重視(9)平和教育の全世界の学校での必修(10)「戦争防止地球行動」の計画を平和な世界秩序の基礎とすること。(豊)

 〔2000・3・20〕


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