2000年9月17日「しんぶん赤旗」

 夫や恋人の暴力への対処で外国の状況は?


 〈問い〉 日本共産党は最近、妻や恋人への暴力の問題で法案大綱を発表しましたが、外国の法整備はかなり進んでいると聞きます。状況を教えてください。(大阪・一読者)

 〈答え〉 夫や恋人から女性に加えられる暴力(ドメスティックバイオレンス)の問題は、家庭内の問題とされて、法的、社会的対応が遅れてきましたが、欧米では七〇年代以後、シェルター運動を発端に女性たちの運動の成果として、女性の保護、救済、自立のための法的な諸制度が今日までに徐々に整備されてきました。

 イギリスではまず被害者にたいし、加害者の暴力禁止や住居からの立ち退きを裁判所に申し立てることや、シェルターに逃げた後の公営住宅への優先入居を認めました。通常の犯罪と同様に加害者を逮捕する警察活動の指針もつくられました。アメリカの各州でも、家庭内暴力を犯罪とし加害者を逮捕することや刑罰の強化、裁判所の保護命令の創設、警察官の教育訓練の義務化などがすすめられてきました。九四年には「女性に対する暴力防止法」が制定され、連邦予算から、シェルターや被害者支援事業への資金援助などがおこなわれるようになりました。

 法的対応はアジアでも進み、韓国では九七年、家庭暴力犯罪の処罰等に関する特例法と被害者保護等に関する法律が成立。加害者の被害者への接近禁止、住居からの退去や処罰などとともに、被害者にたいする国、地方公共団体の責務や保護施設の設置、各種施策の予算措置がもりこまれました。

 世界の最近の状況は、刑事法的対応を中心として、福祉、教育、医療、住宅、カウンセリング等を含む総合的対策立法を制定する方向に向かっています。

 日本共産党が、五日発表した「夫婦間等における暴力の防止並びに被害者の保護及び自立支援に関する法律案」大綱は、次のような柱をもりこんでいます。(1)国と自治体の責務の明確化(2)暴力の防止と被害者保護のための機関・施設の充実・強化(3)被害防止と被害者援助のための行政的・司法的制度の創設(4)夫婦間などの暴力をなくす多角的な措置(5)民間シェルターへの助成。(豊)

 〔2000・9・17〕


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